皆さん「米の秋田は酒の国」というキャッチフレーズを聞いた事はありませんか?
もし聞いた事があるようなら、ここからは話す内容は少々ショッキングかもしれません!というのも、以前までの秋田県は「米の秋田」と自称している割に、実は使用されている酒米は「秋田県外の種類」が主流だったんです!
しかし、このままではダメだ!ということで、秋田県を代表する酒米を作ることになったんです。
それが、今回ご紹介する「秋田酒こまち」です。
この秋田酒こまちの特徴や系譜、またどんな日本酒に使用されているのかまで見ていきましょう。
もちろん、秋田酒こまちという名前だけあって生産されているのは、県内だけになっています!
秋田酒こまちの特徴
それではここからは秋田酒こまちの特徴について見ていきましょう。
秋田酒こまちの系譜
秋田酒こまちは、2001年に「秋系酒251」と「秋系酒306」を交配させたことで誕生した酒米です。開発は1988年から始まったそうなので、10数年の月日をかけて開発に成功した品種なんです!
どうして、ここまでの長い年月をかけて開発し続けたのか?その理由を簡単にお伝えすると、
- 県内で山田錦の使用率が高い!何とかせねば…
- そうだ!県内で山田錦を作ってみよう
- あれ?山田錦が秋田の気候に合わなくてうまく育たない
- ならば、県内で生産量がもっとも多い「美山錦」を育てよう…
- あら…これはすぐ倒れるから収穫が大変じゃ!
- 最後の手段!秋田県の気候にあった酒米を作って天下をとる!
- 10年以上かけて「秋田酒こまち」が完成!
こんな感じです。
秋田県の気候に合わせるだけでなく、酒米の王様といえる「山田錦」を超えるものを目指したからこそ、ここまでの年月を要したようです。
秋田酒こまちの品種特性
秋田酒こまちはまさに次世代のハイブリッド品種と言える特性を持っています。
それでは、どのようなメリットやデメリットがあるのかを見ていきましょう。
メリット
- 米が大粒なので高精白が可能
- 麹が作りやすい
- 耐倒伏性が高い(倒れにくい)
- タンパク質が少ない
まず良い酒米の条件である「米が大粒」なのを満たしています。
基本的に酒米は削ってから酒造りに使用するので、粒が大きく高精白(削る)が出来るものが良いとされています。さらに言うと、高精白が可能なので高級酒となる「大吟醸酒」や「吟醸酒」にも使用されやすいという特徴があります。
また、あきた酒こまちはタンパク質の含有量が少ないので、出来上がった日本酒が雑味が少なくなりやすいというメリットもあります。
デメリット
- 白葉枯病に弱い
デメリットは、白葉枯(しらはがれ)病になりやすいという点です。
デメリットが完全にない品種ではないですが、メリットがそれかき消すくらい多いので、次世代型のハイブリッド酒米と言っても過言ではないでしょう。
というか、秋田県の環境に順応できる稲というだけで、メリットがある酒米ですよね。
秋田酒こまちの産地と生産量
生産地 | 生産量 |
---|---|
秋田県 | 2,375トン |
出典:酒造好適米の農産物検査結果(生産量)と30年産の生産量推計
秋田酒こまちは、秋田県の気候に適応させた品種ということもあり、秋田県だけでしか生産されています。
ちなみに、2,375トンという数字は、酒米全体の中で5位となっています。
秋田酒こまちの日本酒の味わい
秋田酒こまちの味わいは、口に含んだ時にふんわりと甘みや旨味、上品な味が広がり、後味はスッキリとした印象が出やすい酒米です。また、香りにも特徴があり、封を開けると芳醇な香りが鼻を包みます。
秋田酒こまちは、でんぶんが消化しやすい(とけやすい)のと、タンパク質が少ない(雑味の元が少ない)ので、このような味わいになると言われています。
ちなみに、成分分析ではあの山田錦よりも、でんぷんの消化やタンパク質の少なさが上回っているというデータが出ているようです。
秋田酒こまちを使用した日本酒
それでは、ここからは秋田酒こまちを使用した日本酒を見ていきましょう。
新政(あらまさ) 生成(エクリュ)
新政の技術と秋田酒こまちの特徴がマッチした日本に広がっているのがこれ!
フルーティーで口の中に広がる優しい味わいと、後口までキレイに流れる余韻が絶妙な感動をあと押してしてくれます。
新政の中でも比較的安価に購入できる日本酒なので、普段飲みに常備しておくのもアリです!
精米歩合 | 65% |
---|---|
アルコール度数 | 14度 |
使用酵母 | 6号酵母 |
おすすめの飲み方 | 冷やして |
価格(720ml) | 1,480円 |
雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ) 山廃純米
「がっちりマンデー!!」やNHK「プロフェッショナル」で紹介されるほど人気の雪の茅舎が醸した一本です。
山廃特有の力強い味という印象を覆し、口当たりが優しく後味のキレで澄み渡る仕上がりになっています。これまで山廃だから…という理由で敬遠していた人に飲んでもらいたい日本酒です。
ただ、残念な事は使用している酒米は「山田錦」と「秋田酒こまち」の2種類です。(秋田酒こまちを8割使用)
なので、純粋に秋田酒こまちの味わいを楽しみたいという人は少しズレるかもしれません。
精米歩合 | 65% |
---|---|
アルコール度数 | 16~17度 |
使用酵母 | 自社培養酵母 |
おすすめの飲み方 | 5~10度、35~40度 |
価格(720ml) | 1,200円 |
田酒(でんしゅ) 純米吟醸 秋田酒こまち
秋田酒こまちを100%使用していることもあり、特徴が非常に出ている日本酒です。
飲み口は比較的あっさりしていますが、口に含むと甘酸っぱくてまろやか味が広がります。後にくるキレでスッと引き締めてくれるので、食事のお供としても飲みやすいのが特徴です。
精米歩合 | 50% |
---|---|
アルコール度数 | 16度 |
使用酵母 | 不明 |
おすすめの飲み方 | 冷やして |
価格(1800ml) | 3,500円 |
阿櫻(あざくら) 純米吟醸 秋田酒こまち
秋田県の酒米(秋田酒こまち)だけでなく、酒造りに使用する酵母も秋田県で誕生したものを使用しています。正真正銘オール秋田県の日本酒です!
口に含んだ瞬間に果実を噛んだ瞬間のジューシー感とお米の旨味、それでいて後味には優しいキレがあるので、飲み飽きしない仕上がりになっています。
フルーティーな日本酒が好きな方はもちろん、食中酒として飲みたい方にも合わせやすい日本酒という印象です。
精米歩合 | 50% |
---|---|
アルコール度数 | 16.8度 |
使用酵母 | AKITA雪国酵母UT-2 |
おすすめの飲み方 | 冷やして |
価格(720ml) | 1,760円 |
晴田(せいでん) 純米吟醸 秋田酒こまち55
秋田酒こまち特有のほのかな甘さを感じられる日本酒ですが、最も特徴的なのは後味のキレの良さではないでしょうか。
このキレがあることにより、食中酒としての地位を確立する日本酒!というイメージです。
また、開封した瞬間なほのかなリンゴ感が幸せな時間の始まりを演出してくれます。
精米歩合 | 55% |
---|---|
アルコール度数 | 15~15.9度 |
使用酵母 | 秋田酵母NO.12 |
おすすめの飲み方 | 冷やして |
価格(720ml) | 1,485円 |
まとめ
以上が秋田酒こまちの特徴や、秋田酒こまちで醸した日本酒についてでした。
秋田県の一地域でしか生産されていませんが、それでも生産量は現在第5位。品質が高くないとここまでの数字を出せることはりません。
美味しい日本酒を飲むというだけでなく、秋田県の地域性を感じられる日本酒を飲んでみたい方も是非秋田酒こまちを見つけたら試飲すると新たな発見があるかもしれませんね^^
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