雄町米の特徴~日本酒の味わいまで!今日からあなたも「オマチスト」!

雄町米の特徴や味わいを解説
酒猿
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今回は、雄町米の特徴や日本酒の味わいを解説するですたい!

今や、雄町米で醸した日本酒が好きな人を「オマチスト」と呼ばれるくらい人気がある酒米。また、雄町サミットと言って、雄町米だけの日本酒を集める鑑評会が開催されるほど知名度もあります。

ですが、この雄町米の歴史をたどると、一度は生産量が激減し、幻の酒米と言われていた時期もありました。

今回はこの雄町米の特徴を中心に、日本酒の味わいや、雄町米の歴史についても簡単に触れていこうと思います。

酒猿
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これを読めばキミも今日からオマチストの仲間入りですたい!

雄町米の特徴

雄町米の特徴

それでは、まず雄町米の事を知る為に、特徴から見ていきましょう。

酒猿
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昔(昭和初期)は、品評会で上位になるには雄町米を使わないとムリ!なんて言われたとですたい!

雄町米の系譜

雄町の系譜

雄町米の系譜として知っておきたいことは、現存するほとんどの酒米の祖であるということ。人類で言うとアダムとイブ的な存在です。

例えば、酒米の王様と言われる「山田錦」や「五百万石」などを始め、約2/3はこの雄町がルーツにあります。

酒米の祖ということは発見も古く、1859年にまで遡ります。何でも岡山県の雄町に住む岸本甚造という方が「おっ!珍しい米があるじゃんっ!」というカンジで発見したそうです。

その後、栽培をはじめ1866年に「二本草」という名前が命名されたそうです。

ところが!

雄町(地名)に良い酒米があるという噂が広まり、分けて欲しい希望者が殺到。なんと、いつの間にか「二本草」から「雄町」と呼ばれるようになったそうです。

なので、雄町というのは地名の名前なんですね。(発見場所は「備前国上道郡高島村雄町」)

ちなみに、雄町米の系譜図を見ると、純系分離という言葉が出てきますが、これは最初に発見された雄町(備前雄町)から、優秀な米を選び出したのが現在の雄町という意味です。

ちょっと補足をすると、現在の雄町米には「備前雄町(びぜんおまち)」を始め、「赤磐雄町(あかいわおまち)」や「広島雄町」などの種類がありますが、正確に言うと「雄町」と呼ぶのに疑問が残るのも存在します。

これについては「雄町のQ&A」で解説しているので、興味がある方は参考にしてみてください。

雄町米の品種特性

品種特性

雄町米の品種特性をメリットとデメリットに分けてみました。

メリット
  • 大粒で心白が大きい
  • 心白発現率が高い
  • お米が柔らかい
  • 晩成品種

雄町米は良い日本酒を造る為の条件である、「心白の大きさや発現率が高い」というのを満たした酒米ってことです。

また、軟質に分類される酒米なので、モロミに溶けやすく濃醇な味になると言われています。

酒猿
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心白とは酒米の中心に見える白い部分のことですたい!
デメリット
  • 背丈が高く倒れやすい
  • 病害虫に弱い
  • 収穫量が少ない
  • 心白が大きいので高精白は難しい

以上がデメリットになります。

「倒れやすい」「病気の耐性が低い」ので育てるのが困難というのも雄町米の特徴でもあります。

特に収穫量が少ないのはダメージが大きく、食糧難に陥っていた戦時中には生産量が減少し、一時は栽培面積が6ヘクタールまで落ち込んだこともあるそうです。

そういった歴史があるので、「幻の酒米」なんて呼ばれるようになったんですね。

酒猿
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雄町は背丈が1.8mになるのもあるですたい!これは秘密ばってん、わしの身長より高いとですたい!

雄町米の産地と生産量

主な生産地 生産量
岡山県 2,605トン
広島県 132トン
福岡県 18トン
大阪府 8トン
大分県 3トン

出典酒造好適米の農産物検査結果(生産量)と30年産の生産量推計

表を見ても分かるように、雄町米の9割以上は岡山県で生産されています。その岡山県の中でも、岡山市瀬戸や赤磐市赤坂町で生産されたものが高評価を得ています。

ただ、こういった地区のものは、ほとんどが地元の酒蔵と契約しており、ほとんど県外の酒造に出回るということはありません。

なので、上質な雄町米を使用した日本酒を飲みたいなら、まずは岡山で造られた日本酒を飲む!これに尽きます。(基本的にね)

ちなみに、一時は大幅に生産量が落ちた雄町米ですが、平成30年には酒米の生産量ランキングで4位に返り咲いています。

これには雄町米を使用した日本酒の評価が上がってきたこともありますが、前提には岡山県の酒造メーカーが栽培を強化したという裏のエピソードもあるんですよ。

酒猿
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地元の大切な物は地元の力で復活させる!という強い信念が伝わってきたとですたい!

雄町米の日本酒の味わい

日本酒の味わい

雄町米の味わいは、色んな風に例えられますが、一言で言うと「ふくよかでコクのある味わいと長い余韻」が特徴です。

元は野生種ということもあり、重量級を思わせるような深みがあるコクや旨味があり、食中酒として最高のお酒なんです。

【味わいの主な特徴】
・幅があり丸みのある旨味
・何処までも続く余韻
・どっしりとしたコク
・熟成で変化する旨味
・料理を選ばない味わい

味わいの良い面はこういったカンジです。

ただ、全体的にかなり分厚い味わいになるので、しっかりとキレがある造り手の日本酒じゃないと、「しつこい!」と感じる人もいるかもしれません。

ちなみに、香りに関しては山田錦などと比べると控えめですが、雄町米特有の芳醇な香りも心地よいものがありますよ。

酒猿
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特に燗につけると映える酒米ですたい!色んな温度帯で飲んでみると新たな発見があるですたい!

雄町米を使用した日本酒

ここからは、雄町米を使用した日本酒をご紹介します。

七田(しちだ) 純米吟醸 雄町

2017年にパリで開催された「KURA MASTER」でプラチナ賞(最優秀)に輝いた日本酒です。

雄町米特有の旨味と甘味が上手に引き出されているお酒。そして、使用米は岡山県産の雄町です。

精米歩合 50%
アルコール度数 16度
使用酵母 不明
おすすめの飲み方 冷やして
価格(720ml) 1,980円
酒猿
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七田を醸す天山酒造には、九州限定銘柄の「岩の蔵」もあるですたい!こっちも注目ですたい!

而今(じこん) 特上雄町 純米大吟醸

酒米のランクを決める等級で、最上級にあたる「特上」と認定された雄町米を使用した日本酒です。

雄町米は品種改良が行われていないので、出来上がりにバラつきがあり、これまでは良くても「1級」しか取れていない酒米でした。

しかし、平成30年にようやく生産者の努力により、特上の雄町が実現。そして、そんな超レアな酒米を而今によって造りあげたのがこの日本酒です。

価格に負けないほど、ゴージャスで煌びやかな味わいとなっています。

酒猿
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而今が初めて特上と認定された雄町米を日本酒にしたとですたい!
精米歩合 40%
アルコール度数 15.1度
使用酵母 自社保存9号酵母
おすすめの飲み方 冷やして
価格(720ml) 55,000円

誠鏡(せいきょう) 純米吟醸 雄町

ほど良い甘口と、後味の辛さのバランスが良い日本酒です。

冷やして飲むのも、燗に付けても飲むのもバッチこい的なカンジです。

精米歩合 55%
アルコール度数 15度
使用酵母 9号系
おすすめの飲み方 冷酒、常温、ぬる燗
価格(720ml) 1,848円

磯自慢(いそじまん) 特別純米 雄町55%

岡山県産赤磐地区産の雄町を使用した日本酒です。

静岡酵母を使用していることもあり、香りが非常に上品でメロンを思わせるような果実味が特徴の一つ。

味わいは、なめらからながらも、後口のキレが良い意味でお酒のバランスを確立しています。

酒猿
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フルーティーで日本酒初心者の方が入りやすい日本酒ですたい!
精米歩合 55%
アルコール度数 16~17度
使用酵母 静岡酵母・酢酸イソアミル系
おすすめの飲み方 冷やして
価格(720ml) 3,421円

燦然(さんぜん) 特別純米 雄町

雄町サミット2017で「優等賞」を受賞したのがこちらの日本酒です。

雄町の特徴でもある幅が広い旨味を存分に引き出した味わいになっています。

酒猿
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岡山県の酒造が醸す日本酒!これが本場の味!って主張がスゴイとですたい!
精米歩合 65%
アルコール度数 15.5度
使用酵母 不明
おすすめの飲み方 冷や、ぬる燗
価格(720ml) 1,250円

雄町米のQ&A

Q&A

最後に、雄町米について多い疑問をまとめてみました。

「雄町」「備前雄町」「赤磐雄町」の違いって?

雄町を知っていくと、●●雄町という名前を多く見かけると思います。そして、これらの違いが気になると思います。

基本的な違いは、造られた地域が違うということです。

例えば、備前雄町は備前市で造られた雄町、赤磐雄町なら赤磐市で造られた雄町ということになります。

酒猿
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ちなみに読み方は、備前雄町(びぜんおまち)、赤磐雄町(あかいわおまち)って読むですたい!
品種改良された雄町も存在する!

純系雄町と交配雄町の種類

ただ、注意してほしいのが、●●雄町と書かれていても、純系ではない雄町米も存在します。分かりやすく言うと、通常の雄町米に、別の品種を交配した品種の雄町ということです。

例えば、広島雄町は一見すると、広島県で生産されている雄町と考えてしまいます。ですが、広島雄町というのは、「比婆雄町(ひばおまち)」に「近畿33号」という酒米を交配してできた品種になります。

こういったように●●雄町と書かれていても、実際は雄町って読んでいいの?みたいなパターンもあるので注意が必要です。

酒猿
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ちなみに広島雄町は別名「改良雄町」なんて呼び方もされとるですたい!

雄町サミットって何?

雄町サミットとは、岡山県産の雄町を使用した日本酒が全国から集結する品評会です。

雄町の人気と共に出品数が増え、第3回(2010年)には101銘柄だったのが、第11回(2019年)には215銘柄と倍以上に増えています。

毎年、7~9月に東京で開催され、一般人の方でも参加することは可能です。(詳しくはJA全農岡山のホームページを確認してみてください。)

酒猿
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岡山の酒米なら岡山で開催してほしかと想うとですたい!

まとめ

以上が、雄町米の特徴や味わいについてでした。

雄町米のの歴史は古いので、色んな物語がありますが、こういった歴史を知ってから飲むことで、色んな思いにふける。

こういった楽しみ方ができるのも日本酒の魅力ではないでしょうか。

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酒猿
日本酒をこよなく愛する酒猿と申します。自分が好きな日本酒を発掘するのはもちろん、味の好みを聞いて合いそうな日本酒をプレゼンしたりしています。目標は日本酒の知名度アップと、今まで飲んだ事がない人にも美味しさに気づいてもらうこと。宜しくお願いします!
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