あなたは「世界一美味しい日本酒」と聞いてどの銘柄を思い浮かべますか?
「獺祭」「十四代」「新政」…人によって答えは違うと思いますが、近い内に世界一の称号を得るのは熊本県和水町の酒造「花の香」かもしれません。
「おいおい!それはちょっと言い過ぎじゃないか?」と思われるかもしれませんが、近年の爆発的な伸びを見るとそう思わずにはいられないんです!
というわけで、今回は花の香酒造にスポットライトを当ててみたいと思います。
花の香のココが凄い!世界の日本酒コンテストで受賞!
まずは花の香の受賞歴をざっと見てみましょう。
- ロンドンSAKEチャレンジ 金賞受賞(イギリス)
- 国際優秀味覚賞 最高位3つ星受賞(ベルギー)
- 純米酒大賞 金賞受賞(日本)
- KURA MASTER 審査員特別賞(フランス)
- 仙台日本酒サミット 1位(3,000円以上)
- ワイングラスでおいしい日本酒アワード(日本)
こういったように数々の品評会で賞を取っている酒造なんです。
特に注目してほしいのは国です。日本ならず海外でも受賞をしているんですよね。
つまり日本酒なのに世界で活躍するお酒が「花の香」なんです。
そして、この躍進を引っ張るのが、6代目当主兼杜氏の「神田清隆」さん。
某TV番組でドキュメンタリーを拝見させて頂きましたが、「世界一美味しいと言われたい」という思いで花の香を造っているそうです。
花の香の受賞歴を見る限り、目標に一歩ずつ近づいている感じですよね!でも、ここに来るまでの道はけして平坦なものではななかったんです!
花の香酒造は100年以上の老舗!でも、廃業寸前だった!
花の香酒造が創業したのは1902年(明治35年)なので、100年以上の歴史を誇る老舗なんです。
でも、歴史が長い割にあまり耳にしたことがない酒造名ではありませんでしたか?
実は、6代目当主である神田清隆さんが当主に就任した時には、メインで造っているお酒は焼酎で、日本酒は普通酒しか造っていなかったんです。
何でも元々は日本酒がメインだったそうですが、焼酎ブームに乗っかって方向転換していたようですね。
この方向転換は一時期は良かったのですが、焼酎ブームが下火になってくると共に、花の香酒造の売上は落ち…
花の香酒造は廃業寸前にまで追い込まれていたそうなんです!
そんな危機的状況に就任したのが、神田清隆さんなんです。
花の香酒造の再出発!「獺祭」で有名な旭酒造で修行をする!
神田清隆さんが当主に就任したのは良いけど、危機的状況が変わったわけではありません。
この状況を打破する為に掲げたのが、「日本酒をメインに据える」ということ。
ただ、この時の神田清隆さんは酒造りに関しては素人同然。(別の仕事をしていたようです)
そして、日本酒を造る設備があまりにも乏しい酒蔵だったので、その時の杜氏(製造責任者)に「今の状態では美味しい日本酒は造れない」と強く止められたそうです。
そりゃそうですよね!ここでの方向転換はギャンブルですからね!ましてや設備も充実していないなら無理ゲーと誰もが思うハズ!
そんな状態の神田清隆さんに救いの手を差し伸べた人がいます!
それが獺祭で有名な旭酒造の桜井社長ですね。
花の香酒造のことで、ちょくちょく相談にのって頂いていたようなんですが、その中で「本気で蔵を変えたかったら自分が酒造りのノウハウを身につけなさい」と言われたそうです。
この言葉を受け、神田清隆さん自ら獺祭で修行することになるのです!
獺祭と言えば、これまでの日本酒造りとは異なり、品質のデータを軸に酒造りを行っていく酒造。
例えば、日本酒の味わいに関わる、「アミノ酸・酸・温度・湿度」などを徹底的に計測して酒造りを行っているんです。
獺祭を飲んだ事がある人は分かると思いますが、完成して隙のない味は理論に基づいているからなんですね。
こうした環境で神田清隆さんは寝る間も惜しんで修行に励んだようです。
花の香酒造の大躍進!成長スピードが異次元!
花の香酒造の肩書きは「獺祭で修行した当主がいる」というわけではありません。
獺祭の工程を取り入れた「花の香」は徐々に良いお酒と認知されるようになり、大躍進を果たしているんです。
- 平成26年⇒70石(一升瓶で7,000本)
- 平成27年⇒480石(一升瓶で48,000本)
- 平成28年⇒650石(一升瓶で65,000本)
わずか3年で約10倍の製造量!ちょっとヤバくないですか?
「ふっ、まだまだだな!」とケチを付ける人もいるかもしれませんが、神田清隆さんが当主に就任したのは平成23年なんです。
つまり、ほぼ素人の状態から数年で花の香をここまで押し上げているんですね。
冒頭でお話したように、現在花の香は日本だけでなく、海外でも高い評価を受けています。
特に花の香「桜花」はフランスで開催された「KURA MASTER」を受賞したことにより、パリの高級ホテル「クリヨン」でも使用されている日本酒です。
今のところは花の香にプレ値が付いてはいませんが、ゆくゆくは入手困難な日本酒の一つになるかもしれませんね。
花の香酒造の新たな取り組み!地域密着で世界を狙う!
花の香酒造、神田清隆さんは世界的な賞を獲ったからといって満足はしていません。
着々と「次」のことを考えて、実践しているのです。
それが、「オール和水」と「瓶内二次発酵スパークリング日本酒」です。
オール和水とは?
オール和水とは、酒造りに関する原材料を「和水町」のものするということ。
酒造りに欠かせないものと言えば、「お米」と「水」です。
花の香の仕込み水は、目の前を流れる「和仁川」ですが、お米に関して言えば、まだ完全に和水町産のものではないそうです。
ですが、神田清隆さんが地元農家と立ち上げた「山田錦農作部会」を皮切りに、2020年までに100%地元産の酒米で仕込むことを目標にしているんです。
熊本県和水町で採れる「水」と「お米」、それらが完全に融合した時に花の香がさらなる進化を遂げそうですね。
もちろん、花の香を通じて和水町の活性化にも繋がりますし、まさに和水町地域が生み出したお酒ってことですね。
ちなみに、多分読めてない人が多いと思いますので補足しますが、和水(なごみ)って読みます!w
世界と戦う秘策?花の香の「瓶内二次発酵スパークリング日本酒」
現在花の香酒造が力を入れているのが、花の香の純米大吟醸を瓶内二次発酵でスパークリングにした「花火」という銘柄です。
花の香には既に「ハナノカ702スパークリング」など炭酸が入った日本酒がありますが、花火はそれをさらにバージョンアップしたお酒というイメージです。(製法が全く違います)
神田清隆さん曰く、世界では発泡系のお酒が日常化しているので、そこに日本酒のスパークリングがあってもおかしくないと話されています。
この発言からも分かるように、日本酒を世界へ定着させようとされているのではないでしょうか?
そして、このスパークリング日本酒「花火」を開発する為に、わざわざフランスのシャンパーニュ地方まで足を運ばれているんですよ。
その甲斐もあって、このスパークリング日本酒は、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019」のスパークリングSAKE部門で最高金賞受賞をしているんです。
なんでも、口に入った瞬間のピチピチした感触、柔らかく綺麗な余韻がゴージャスに抜けていく味わいが特徴のお酒のようです。
こうしたように、日々絶え間なく努力の上積みをしているのが、花の香酒造なんです。
ゆくゆくは獺祭を超える日本酒と言われるようになり、世界でも日本一美味しい「SAKE」と言われる日が来るかもしれません!
【前回3時間程で完売!再入荷致しました!】
熊本の花の香酒造さんから「花の香 花火 スパークリング」再入荷致しました!
余りの評判の良さで完売した後も、沢山お問い合わせ頂きました。まさか再入荷するなんて!
俺も呑めるかなぁ……。#沢屋 #澤屋 #埼玉 #桶川 #花の香 #花火 pic.twitter.com/cFUEzYBLxq— 沢屋(有限会社 澤屋酒店) (@sakesawaya) May 17, 2019
花の香酒造に突撃訪問!行き方もチェック!
というわけで、実際に花の香酒造を訪問してきました!
九州道の南関インターチェンジから約15分で花の香酒造に着きますよ!
写真はインターチェンジを下りて最初に見える案内標識です。
南関市街(左)に行きます。
南関御茶屋跡の標識が左手に見えたら、ちょっと進んで右に曲がります。
ぐる~っ回る道が終わると出てくる三差路。ここ右に曲がります。
すぐに正面に鳥居が見えるので、ここを右に曲がります。
ちなみに右手にはローソンがあるので、分かりやすいと思います。
すぐに信号があるので、ここを左に曲がります。
信号には地名が書いていないので、ちょっと説明しづらいのですが…
右手にオシャレな美容室があったので、ここを目印にして曲がると大丈夫かと思います。
ここからは、約4キロほど直進します。
進んで行くと大自然が広がってきました。
花の香酒造は地元(和水町)の酒米にこだわっているので、もしかするとここに植えてあるのは、花の香に使われる山田錦かもしれませんね!
そう思うと興奮して思わずシャッターボタンを押していました(笑)
金栗四三の生家の標識と共に信号が見えました。
何を隠そう花の香酒造がある和水町は、大河ドラマ「いだてん」の聖地なんですよ!
ここを右に曲がります。
真っ直ぐ突っ切ると三加和郵便局がありますが、そこまで行くと行き過ぎなのでご注意下さい。
眼の前にあるのが、花の香酒造です。思っていたよりも道が結構狭いので、車だと離合するのは結構難しい感じです。
また、駐車場は何箇所かあるみたいですが、駐車スペースはどこも狭いので、空いている所を見つけたらそこに駐車するのがオススメです。
狭い道をウロウロするのは大変ですからね。
花の香酒造を堪能しました!
花の香酒造に到着しました。歴史を感じれる建物が良い雰囲気を出していますね。
どうやら1階が「花回廊」と言うギャラリー。
2階が「花香酔人」と言うテイスティングバーになっているようです。
というわけで、早速お邪魔してみます。
店内に入ると、すぐに店員さんが出てきてギャラリーのまわり方を教えてくれました。
こういった感じで酒造りに関連する写真、道具などが展示してありました。
地元で採れたお酒や水田の写真が多く感じられたので、強い地元愛が感じられますね!
両端に、日本酒作りの作業工程の写真がありました。
そして、さらに奥に進んでいくと、中を覗けるような扉がありました。
もちろん覗いてみます!一人ひょっこりはん状態ですが、気にしません(笑)
中では酒造りを行っているようですね。ガラス越しですが、生の現場を見れて興奮!というか、ちょっと感動しました!
ここであの花の香が出来ているわけですからね!
色々回っていると麹室も発見しました。
ただ、訪問した時期が悪かったらしく、中には誰もいませんでした。
店員さんに聞いた話によると、11月くらいだったら麹造りを見る事ができるようです。
最後に、花の香を購入できるスペースが用意されていたので、ゲットしてきました。
今回購入したのは、花の香「和水」。
こちらは「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019」で最高金賞受賞した日本酒ですね。
桜花は飲んだことがあったので、こちらをチョイスしてみました。
花の香「和水」を飲んでみた感想は、こちらでまとめているので興味がある方は読んでみて下さい。
ちなみに、店頭にはめちゃくちゃレアな種類が置いてありました。
私も初めて見たのですが、花の香「桜花 弐拾」です。(写真取り忘れたのでパンフレット写真です)
何でも、花の香「桜花」の精米歩合を20%にした日本酒のようです。
店員さん曰く、花の香酒造は精米をあまりしない方向で進めていく予定だけど、遊び心で作ったのが花の香「桜花 弐拾」らしいです。
そして、当主の気まぐれ?で作ったものだから、来年以降も造るとは限らないと仰っていました。
なので、ゲット出来るのは今しかないッ!?
ちなみに、店員さんからこのお酒は店頭限定発売です。って言われていたのですが、
頂いたパンフレットの裏側を見てみると、普通に購入できるみたいです(笑)
商売上手でしたね!
というわけで、今回の酒蔵訪問は以上です。
いつかは、神田清隆さんにもお話を伺いたいですね!(勝手に敬愛していますのでw)
花の香酒造はかなり大自然が広がっているところにあるので、これだけが目的だと行く気になれないかもしれません。
ですが、近くには平山温泉など、温泉の名所がたくさんあるので、そこで疲れを癒やしつつ夜は花の香で一杯やるのも良いかもしれませんね。
酒蔵情報
酒蔵名 | 花の香酒造株式会社 |
---|---|
電話番号 FAX |
0968-34-2055 0968-34-2644 |
住所 | 〒861-0906 熊本県玉名郡和水町西吉地2226-2 |
ホームページ | http://www.hananoka.co.jp/ |
おまけ
花の香酒造の近くで発見した日本最古の城攻め絵図の看板です。
何でも近くに、田中城(和仁城)跡があるようなので、歴史が好きな方は楽しめるかと思います。
私は、購入したお酒の温度が上がるのが嫌で行きませんでしたが…。
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